2009年8月4日火曜日

林原グループ社長 林原健

地方発!世界と闘う同族企業~オンリーワンのススメ~
2009年7月27日放送

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■ 林原グループとは
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・林原グループとは株式会社 林原が統括する企業集団
・岡山県の中小企業
・バイオテクノロジー、メセナ事業、不動産の運用事業などを展開する
・関連会社は以下の4つのグループ
 → 中核事業法人・メセナ事業法人・関連会社・海外事業法人
・メイン事業は食品・医療品の研究開発
・非上場
・年商720億円
・創業1883年、現社長は林原健は4代目
・同族経営、縁故採用を推奨

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■ 林原グループの強み
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日本の地方(岡山県)の一中小企業であるにも関わらず、
欧米のグローバル企業と伍する研究開発力を持っている

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■ 全社戦略(概要)
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1. ドメイン(Where?)
「オンリーワンの基礎研究」

2. コアコンピタンス(What?)
2-1. 研究テーマの選定
2-2. 研究の副産物の吸い上げ
2-3. 研究に対する粘り強い取り組み

3. 資源配分(How?)
3-1. ヒト:MOTの素養を持ったトップと基礎研究に適した人材
3-2. モノ:基礎研究に適した仕組み&特許
3-3. カネ:基礎研究を支える豊富な研究資金

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■ 全社戦略(詳細)
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1. ドメイン(Where?)
「オンリーワンの基礎研究」
(研究以外の製造・販売はやらない)
・バリューチェーンの最上流だけを手がける
・製造・販売は大企業にやってもらう
・研究開発とマネジメントは本来異質
・両者を併せ持った人はいない(初期のHONDAやSONYが好例)
・日本人は販売まで手がけたがるから、最後はダメになる

2. コアコンピタンス(What?)
2-1. 研究テーマの選定
・研究の目利きができる社長自らが決定、責任もとる
・他の企業が手がけていないか徹底して調査
・研究者はマーケットを知らないからテーマ選定はさせない
・ハムスターの冬眠、化石の発掘、類人猿などユニーク

2-2. 研究の副産物の吸い上げ
・そもそも研究の副産物が事業のメインとなっている
・社長が見逃さないように目を光らせている

2-3. 研究に対する粘り強い取り組み
・成功するまでやめない
・インターフェロン発見者、長野泰一の教え
・いま林原では30年以上やっている研究もある

3. 資源配分(How?)
3-1. ヒト:MOTの素養を持ったトップと基礎研究に適した人材
● MOTの素養をもった社長
→ 研究テーマの選定、研究の副産物の吸い上げが可能
● 研究者は地元限定採用
→ 地元密着の同じ背景を持つ優秀な研究者を多数確保できる
→ 研究者間の意思疎通が容易。長期の粘り強い研究に適する
→ 多様性、大人数はシナジー効果はあるが、性悪説(?)が必要

3-2. モノ:基礎研究に適した仕組み&特許
● 同族経営
→ トップの経営方針(=研究方針)が長期間入れ替わらない
→ 基礎研究のような息の長い研究が可能
○ 特許
→ トレハロースなど5000件を有する。研究資金を生み出す源泉

3-3. カネ:基礎研究を支える豊富な研究資金
● 非上場
→ 外部(株主や投資家)からの圧力なく研究が進められる
→ 大企業だと四半期ごとに利潤が追求される
○ 売上確保のビジネスモデル
→ 長期間の研究は2割、8割は現状のビジネスの延長

●は特に重要なもの

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■ リスク
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・ビジネスモデルが社長の能力と人格に依存している
→コアコンピタンス2-1.、2-2.は林原健社長以外にできない(能力面)
→自分を客観視するために、役員の8割を外部の人間にする(人格面)
→後継者を作るのが超困難
・研究の失敗(思ったほどお金にならない、他社に先を越される)
・研究者の高年齢化(平均年齢44歳)

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■ 感想
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前職のメーカーはR&Dが強いことで有名で、現行の製品の中には、
20年にも及ぶ研究の成果が実を結んだものもあった
その後、経営の方向性が変わり、事業の選択と集中、コスト削減など
に力を入れ、増収増益によってエクセレントカンパニーと呼ばれる
ようになった。一方、いつの間にかR&Dは弱体化し、新規事業が
育たない体質になってしまった
強いR&Dを生むためには、戦略と資源配分の整合性(フィット)
の重要性をこの事例から学ぶことができた
また大企業の場合、例えばC&R(Connect&Development)
など大企業にフィットするイノベーションの手法があると思う


8 件のコメント:

  1. 祝ブログ開設です☆
    毎週更新を楽しみにしていますね。

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  2. コメントありがとうございます☆
    私もYujiさんの毎週のコメント楽しみにしています。

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  3. いよいよブログ開設ですね。
    三日坊主、じゃなくって、「三週坊主」にならぬよう、頑張って下さい。
    ちょくちょく覗きに行きます。

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  4. わー。
    この切り方で見るの好き。
    ドメイン、コアコンピタンス、資源配分。
    そしてリスクねー。
    ドメインの定義はどきどきやんね。(笑)
    お気に入りに入れました!

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  5. psser-by the way2009年8月11日 1:59

    祝ブログ開設です♪

    私が一番感じたことは林原グループのビジネスモデルは不確実性が大きいということです。基礎研究をベースとするビジネスの創造には、どう立ち回っても、もしかしたら何も生まないかもしれないという不確実性が付きまとうのではないでしょうか。そして、それを補っているのが、林原社長のインサイト(マーケットを見抜くき、研究テーマを選別する力)だとするなら、やはりそのリスクは林原社長の能力に依存しすぎていることでしょう。
    だからこそ、ユニークさが担保され、他社との差別化が成されているともいえますが、
    もしかすると林原社長は「これは自分のやり方、後継者には後継者のやり方がある。それまでにその地盤を作っておこう」という次の世代への戦略があるのかもしれませんね。

    浅はかではありますが、私見を述べさせて頂きました。

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  6. 豹子頭さん、コメントありがとうございます。
    そうですね。3回で閉鎖にならないよう、明日のジョー的(?)にがんばります。ご支援よろしくおねがします。

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  7. がっきーさん、コメントありがとうございます。
    しかもお気に入りに入れていただいたとは、感謝感激です。
    今回はまあまあきれいにフレームワークでまとめることができました。
    今後ともよろしくおねがいしますね。

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  8. psser-by the way さん、コメントありがとうございます。返信が遅くなってしまい申し訳ありません。おっしゃる通り、このビジネスモデルは非常にユニークであるものの、林原社長の属人性に依るところがかなり高いですよね。林原社長が次世代の事業継承について、どんなことを考えているのか、せひ知りたいとことですね。
    今後ともご支援宜しくお願いします。

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