2009年8月10日月曜日

オーケー社長 飯田勧

“正直経営”が今、武器になる!
2009年8月3日放送

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■ オーケーとは
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・東京都・神奈川県を中心に中堅のスーパーマーケットを展開
・ウォルマート(小売で世界最大※)を手本に「日本版EDLP」を実現
 ※売上40兆円、世界中に8000店舗
・イオンやイトーヨーカ堂とはビジネスモデルが異なる
・年商1921億円(2009年3月)
・2002年からリーマンショック以後も増収増益(売上は10年で倍増)
・創業1967年
・飯田勧は父・飯田紋次郎の三男で81歳
・長男・飯田博は酒卸問屋・岡永の会長兼「日本名門酒会」最高顧問
・次男・飯田保は居酒屋チェーン「天狗」のテンアライドの最高顧問
・末子の五男・飯田亮はセコムの最高顧問

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■ オーケーのコア・コンピタンス
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和魂洋才の経営

① 「和魂」父から学び、兄弟で実践している正直経営
「至誠天に通ず」と父から学んだように、まずは顧客に誠意を尽くす。
そして、ファン(固定客)を着実に増やしていき、はじめて利をとる

② 「洋才」ウォルマートから学んだEDLP(EveryDay Low Price)
EDLP実現のために売上原価低減と徹底したローコスト
オペレーション(販管費15%以下)に取り組んでいる

※ 15%以下の根拠
飯田社長の分析では、ウォルマートもカルフールも販管費が
15%を下回った時点から、大きく成長が始まったとのこと

※ 販管費率の競合比較(09)
イオン (23.1%)
イトーヨーカ堂(24.7%)
オーケー (14.5%)

※ 特売は価格を変動させることから「High&Low戦略」と呼ばれる


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■ オーケーの施策
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① 父から学び、兄弟で実践している正直経営
→「毎年10%ファンを増やし、年率30%の成長を目指す」
・オネストカード
→マイナス情報も顧客に開示(買い時を教える)
→顧客はいつでも高品質商品のみの入手が可能
→お客に損をさせない
 (低品質の余分な在庫を持たなくて済むという利点もある)
→お客との信頼関係が生まれる 

・売り場の継続的改善
→生鮮食品を保存しやすい大きさ、盛付けしやすいように販売
→ビニール袋は有料だが、段ボールは無料
→社長自らご意見カード全てに目を通す(1週間400通を10年間)
→社長自身も毎日オーケーに買い物に行き、売り場をみる

・オーケークラブ制度
→100円の手数料でカード発行。3%の割引がきく

② ウォルマートから学んだEDPL(Every Day Low Price)
②-(a)売上原価低減→「地域最安値を実現!」
→商品の選択と集中(全てのメーカの商品を扱わない)
→地域内の競合店を徹底調査(20年以上)
→競合より高ければ、すぐに値段を下げる

②-(b)徹底したローコストオペレーション→「販管費15%以下を実現!」
・EDLPなので特売日がない
→特売日のための商品発注などの業務が不要(人件費↓)
→広告をほとんど打つ必要がない(広告宣伝費↓)

・店舗の選択と集中
→商品の配送を一定地域に集中できる(運搬費↓)
→特に人口密度が高い国道16号の内側が出店戦略地域

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■ リスク
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・商品の選択と集中によるリスク
→仕入先少数のため、商品供給に支障をきたすと大幅に売上減少
・成長戦略(年率30%)のリスク
→出店計画の場所が確保できず、目標未達の可能性がある
→人材の確保・育成が間に合わず、サービス劣化の可能性がある

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■ 感想
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オーケーは私の地元にもあり、小さい頃より良く知っています
ただ私が小学生の頃(1980年代)私の両親はオーケーでそれほど
買い物をしていませんでした
ところが1990年を過ぎたあたりから、両親はオーケーの
熱狂的なファンになり、毎週末買い物に行くようになりました
その背景には、このような経営方針の遍歴があったんですね
かなりナットクできました

6 件のコメント:

  1. Passer-By the Way2009年8月13日 14:44

    オーケーの成功要因はおそらく2点
    ①至誠天に通ずを貫き通していること
    ②それを実現するためのサービス・活動を徹底していること
    ではないでしょうか。
    そして、それによって成されているのが、以下3点
    1.地域最安値
    2.豊富な品揃え
    3.オネスト情報発信
    であり、更には、お客様との信頼関係なのだと思いました。
    番組から1.2.3.の内容を読み取って感じたことですが、
    正に、熱烈なファンを創造するためのビジネスモデルそのものですよね。
    生活者が小さな変化に大きな影響を受けやすいという、小売の現場、地域密着型店舗の特性を上手く押さえた展開だと思います。
    感想レベルではありますが、コメントさせて頂きました。

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  2. Passer-By the Wayさん、大変有益なコメントありがとうございました。
    おっしゃる通り「至誠天に通ず」の視点はオーケーを考える上で欠かせないですね。Passer-By the Wayさんのコメントを元に内容を修正しましたので、再読してみてください。「和魂洋才」というフレームワーク(?)を作って、強みと施策の整合性を取って整理し直しました。
    ところで、もしオーケーがさらに規模の拡大を続けた場合、あるいは社長が現場で指揮を取れない状況になった場合、「EDLP」は実現できても「至誠天に通ず」が実現できなくなってしまうリスクがありそうですね。

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  3. Passer-By the Way2009年8月27日 1:14

    大分遅れてのコメントになります。
    申し訳ございません。

    hirotosさんの仰るとおり、規模が大きくなるとそれぞれの社員間で仕事を進めていく上での基本的価値観が共有できなくなり、特に店舗を持つ業態では、サービスレベルの標準化が難しくなることは考えられると思います。
    これはに対しては、インターナルブランディングを構造的に仕組むことで、オーケーのDNAを全社に浸透させることが必要かと思います。具体的には、経営理念の具体化、理念浸透委員会の発足、核人材の育成、各セクションの業務における理念の継続的落とし込み、アクション、アクション、アクション、アクションといった具合でしょうか。
    これこそ、言うは易し行なうは難しではありますが。

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  4. Passer-By the Way さん、さらなるコメントありがとうございます。具体的な施策、大変参考になりました。オーケーの社長が81歳ということは、既に飯田イズムみたいなカタチで、現場レベルまでDNAは浸透しているかもしれませんね。京セラの稲盛イズムみたいな感じで。
    ちなみに先日、うちの母がオーケーで果物を買ったら(オネストカードなかったのに)不味かった、とかなり辛口のコメントをしていました(笑)

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  5. エアシェイディ2009年8月31日 17:31

    ここの社長が「今まで安売りしてつぶれた会社は無い」とどっかの雑誌でコメントしていました。
    現在食品スーパーを担当している私としては、利益の源泉がどこにあるかが気になります。
    店に足を運んだことは無いのですが、基本的には生鮮三品で儲けるのが王道ですので、生鮮が本当にEDLPなら、仕入れにノウハウがあるきがしてます。

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  6. エアシェイディさん、コメントありがとうございます。おっしゃる通り仕入れには、間違いなくかなりのノウハウがあるでしょうね。やはり利益の源泉はと聞かれると、「ローコスト・オペレーション」にあるのではないかと思います。そのために番組で紹介されたいろいろな施策(販管費ミックス)を実行しているのではないでしょうか?
    最近では、パックした、お惣菜買う人多く、「鮮魚」「青果」「精肉」の生鮮三品に「惣菜」を加え、生鮮四品とも言うそうですね。

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